章 973

三日目の朝、林川は六時過ぎに起き、浴室で冷水シャワーを浴びた後、王姗姗が買ってくれたスーツを取り出した。買って来た時に一度試着して以来、一度も手を触れていなかった。

林川はスーツが好きではなく、着ると違和感があったのだが、なぜか今日は姿悦の開業式に出席するにあたって、きちんとした身なりでいきたいと思った。

普段は外見など気にしない林川だが、ヘアワックスで髪型を整え、ネクタイを締め、静かに鏡の前に立った。顎周りの無精ひげが全体の印象と不釣り合いに見え、しばらく見つめた後、髭も剃った。

林川は鏡の中の自己をほとんど認識できないほどだった。まるで別人になったかのように、頭からつま先まで、内も外...