章 978

林川の背中からたくさんの冷や汗が滲み出ていた。誇張でもなんでもなく、ただ数秒見つめられただけで、全身に冷や汗が吹き出したのだ。

旭さんは不安そうに振り返り、表情がずっと険しくなった。「例えを挙げるとさ、昔うちの村に豚を屠る家があってな。毎年千頭以上の豚を屠ってた。長年そういう仕事をしていると、ある種の殺気というものが身に纏わりつくんだ。科学的な根拠はないけど、確かに存在するものさ。俺はあの屠殺業者と向き合うたびに、心に重苦しさを感じて、とにかく居心地が悪かった」

「軍刀から感じるのは、その屠殺業者の何十倍もの重みだ。こう言えば、わかるか?」

浩子はしばらく考え込んでから顔を上げて旭さんを...