章 586

「安二虎は香草を抱きたいと思っていたが、何度も惜しいところで機会を逃してきた。毎回何かが起こり、二人はいつも縁がありながらも結ばれることができなかった。安二虎は香草が自分の体に寄り添う時の震え、胸の筋肉に触れる玉手の震えを感じ取っていた。それはすべて、彼女が本当に彼を求め、愛していることの証だった。彼女はあまりに興奮していたのだ。

だが、ベッドで横たわる安岩のことを思うと、安二虎は少し忍びなかった。もし安岩が厢房で香草を抱いている音を聞いてしまったら、生きていられるだろうか。そのため、彼は香草に掻き立てられた欲望を必死に抑え、言った。「香草、数日待ってくれないか?安岩の危険期が過ぎてからにし...