章 113

私は少し腹が立って、正直なところ飛び掛かりたい気分だった。だが、これは自分が口出しできる問題ではないと分かっていた。結局、相手は一方が騙し、一方が騙されることを望んでいる関係だ。あの女性の切羅な様子を見れば、彼女が自分の仕事のためならこんなことなど気にしないだろうと感じられた。そして石工は、人を害しているとはいえ、命に関わるほどではない。

それに、さっき食堂の主人が言っていたように、この石彫りの町は様々な人間が入り混じっている。よそ者が余計な正義感を振りかざせば、自分に災いを招くだけだろう。

そう考えると、私の表情に一瞬の冷たさが走り、視線を引き戻した。

その後も石工はあの女性と何か話し...