章 376

全員が声のする方向に視線を向け、一体どこからの声なのかを好奇心いっぱいに探していた。そして、彼らの視線が私に集中し、驚きの表情を浮かべた。

「こいつは誰だ?あの人と競り合う勇気があるとは?ただ者じゃなさそうだな」

会場内ですぐに議論が始まったが、私はただ黙って彼らを見つめ、気にも留めなかった。

明らかに、あの声は私が発したものだった。私が競りに参加した理由は二つ。一つは、この品が私にとって大いに役立つ可能性があること。もう一つは、単純にあの男が気に食わなかったからだ。

あの男はおそらく金持ちの息子で、日頃から贅沢三昧に金を浪費するタイプだろう。そういう人間は金で何でも解決できると思い込み、...