章 62

棺が揺れ動き、その中から重々しい呼吸音が漏れ出した。

「はぁ、はぁ……」

その音は荒廃した道観の中で、異様に不気味で陰鬱に響き渡る。だが最も恐ろしいのはそれだけではなかった。その重い息遣いの中から、かすれた声が棺の中から聞こえてきたのだ。

「誰だ、儂が残した延命の大陣を破ったのは?誰だ、儂の法を断ち切ったのは?」

ゴロン、と棺の蓋が開き、中に現れたのは道袍を身にまとった道士だった。だがその道士の姿はいささか恐ろしいものだった。全身の皮膚はすっかり干からび、目の窪みは深く陥没し、眼球が飛び出していた。

まさにこの道士は皮膚と骨以外、何も残っていない状態で、その姿は明らかに死人...