章 1156

蘭若寺、それは彼らの始まりと終わりの場所。

何詩言は門に触れ、木の感触を確かめた。それはあまりにも親しく、懐かしいものだった。

「中に入りなよ。僕は入らないから。外で待ってるよ」楊羽はそう淡々と言い、敷居に腰を下ろした。ここは恋人たちの再会の場所、楊羽が邪魔をする必要はなかった。

何詩言はうなずき、一歩一歩と中へと進んでいった。

部屋の入り口まで来ると、彼女は立ち止まった。中から声が聞こえてきたからだ。

「妻よ、なぜそんなに早く私の元を去ってしまったのだ?」

何詩言の心が一瞬刺されたように痛んだ。彼女はゆっくりと中に入っていった。部屋の中には一人の老人がいた。老人はベッドに横たわり、写真を見つ...