章 553

大熊の後ろ姿が視界から消えるのを見ながら、大風は足を踏み鳴らしたが、何も言う勇気はなかった。実を言うと、今の私の気持ちはかなり複雑だった。

来る前から、どんなことがあっても大熊を殺そうと思っていた。さっきも簡単な動きで彼の命を終わらせることができたのに、彼のあの言葉を聞いたら、どうしても手が下せなくなった。

まあ、認めよう。私はおそらく情に厚い人間なのだ。彼に更生のチャンスを与えたのは、彼の言葉を信じたこともあるが、もう一つ理由がある。それは九龍門がこれで終わりということだ。雷維敏は言っていた、山口組の件を片付ければ九龍門は彼らに任せてほしいと。これまでは決定的な証拠がなかったが、今夜の数...