章 102

間もなく、公主府の使用人が一人の老人を連れて出てきた。

冷澜之は口元に微かな笑みを浮かべ、淡々と尋ねた。

「駙馬は、この者を覚えておいでか?」

老人は背中が少し曲がり、髪は真っ白で、右足が不自由だった。今は杖を突いている。

その老人を見て、沈逸之の表情には戸惑いの色が浮かんだ。

沈逸之がその人物の身分を思い出す前に、老人は「ドスン」と音を立てて跪いた。

「駙馬様にお目にかかれて光栄です。私は程三児と申します。かつて平南侯府の荘園で長工として働いておりました」

老人は顔を上げて沈逸之を見つめ、その目には憎しみが満ちていた。

「駙馬様は私のことをお忘れかもしれませんが、お屋敷の阿北という従者...