章 160

一行は宿に入った。

商隊全体で、杜さん夫妻と家族を含めて、合計三十人いた。

冷澜之は今回、微行で訪問しており、しかも誰かの追跡を避けねばならなかったため、表向きは彼女と顧湛の二人だけだった。

人目を忍ぶため、流紗すら連れていなかった。

三十二人が宿に入ると、それなりに広い宿の玄関ホールは人で溢れかえった。

しばらくして、杜さんは少し困った様子で歩み寄り、冷澜之に言った。「水お嬢さん、宿には空き部屋が四つしか残っていないんです。私と部下たちは詰め込めば三部屋でなんとか収まりますが、あなたは妻と娘たちと一部屋に詰めていただけないでしょうか?」

冷澜之が借りているこの身分は水玲珑という名で、やや特殊...