章 211

「姫様、豊会長の家に秘密の通路がありまして、下官はすでに人を送り、その通路を通って追跡させております……」

李長林の言葉が終わらないうちに、一群の兵士が役所から小走りで出てきて、報告した。「大人、その秘密の通路は城外の森に直接通じており、海辺に近いところです。豊会長はおそらく船で逃亡したものと思われます」

李長林はたちまち憂色を浮かべた。

「一度あの男が海国に行ってしまえば、連れ戻すのは難しくなる」

「とりあえず戻りましょう」

冷瀾之は眉間を摘まみながら、事態がここまで来てなお隙が生じるとは思わなかった。

もし豊会長が本当に逃げたのであれば、まだ良いほうだ。犯罪者が一人逃げたとはいえ、当面は天...