章 252

この数日、顧湛は朝廷に出ていない。きっと何か処理すべき事があるのだろう。

冷澜之は明らかに、彼に会ったら直接お守りを渡そうと考えていた。

目の前の典司府を見つめ、彼女はしばし沈黙した。

ただ私服で気晴らしに出かけただけなのに、どうしてこんなところに来てしまったのだろう?

ちょうど立ち去ろうとした瞬間、背後の門が突然開き、金糸の黒衣を纏った男が長い脚で門をくぐり出てきた。

冷澜之:「……」

「ただ通りかかっただけです」

冷澜之は口を開いた途端、自分の言い訳があまりにも怪しいことに気づいた。

顧湛は一瞬黙り、「通りかかった」という言葉には何も言わなかった。「府内に三尺ほどの珊瑚を新たに手に入れたの...