章 271

事実が証明したように、冷澜之が信じようと信じまいと、厚顔無恥な人というのは確かに存在するものだ。

太子は手をこすり合わせ、優しげな笑みを浮かべた。「伽罗よ、兄さんがちょっと金を借りたいんだが」

冷澜之は「……」と言葉を失った。

一瞬の沈黙の後、彼女は冷ややかに目を上げた。「何のために借りるの?私が知る限り、太子府にはそれほど大きな出費はないはずでしょう?」

太子は軽く咳払いをした。「そんなことは聞かないでくれ。とにかく使い道があるんだ。安心しろ、手元に余裕ができたら、必ず返すから」

冷澜之は心の中でそれはどうかな、と思った。

彼が余裕ができても返さないとは思わないが、そもそも彼の手元...