章 312

「李郎を救うため家を離れ、誰が知ろう科挙の状元となるとは……」

舞台から響く美しく流れるような歌声に、観客全員が『女駸馬』の物語に心を動かされていた。

馮素珍の勇敢な愛、恨みの深さ、そして彼女の博学多才さや聡明さに、誰もが憧れを抱いていた。

男たちは、自分のためなら何でも厭わず、命さえ懸ける素晴らしい女性を得ることに憧れ。

女たちは、一方で馮素珍と李生の恋愛に、もう一方では馮素珍の勇気に憧れを抱いていた。

これは男女問わず楽しめる演目で、ほとんどの観客の顔には満足の色が浮かんでいた。

建良帝も満足げに言った。「さすがは皇后だ。今年の出し物は趣向も新しく、素晴らしい出来栄えだ」

徳妃は口元を押さ...