章 55

「驸馬、お帰りください」冷澜之は驚きから我に返り、冷淡に告げた。「この宮は疲れました」

六年前、彼が進んで歩み寄ってくれていたなら、きっと自分は喜びに舞い上がっていただろう。

でも今は……

ふん。

沈逸之は眉を寄せた。

だが結局何も言わず、錦繍苑を後にした。

冷澜之は眉を顰め、阿香を呼んで沈蘭児の今日の行動を調べるよう命じた。

沈逸之は錦繍苑を出ると、阿北に命令した。「蘭児のところに見張りをつけろ。方家の者が来る前に、彼女が勝手に動き回ることは許さん」

少し間を置いて付け加えた。「明日の三食は全て彼女の部屋へ運ばせろ。食堂へ行かせる必要はない」

「かしこまりました」阿北は応じた。

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