章 282

今、私はまるで悪事を働こうとする人間のように、歩きながら絶えず左右を見回していた。

大丈夫だ、きっと考えすぎなんだ。私は心の中で自分を慰め続けた。

突然、マウンテンバイクに乗った人物が私に向かって来るのが見えた。

その人物は徹底的に顔を隠し、真っ黒な服装をしていた。そんなに速くは走っていないが、ずっと私を見つめていて、それが私を一気に緊張させた。

六メートル、五メートル……

彼が近づくにつれ、私の心臓は一瞬にして喉元まで上がってきた。

とっさに、焼き肉店に入る勇気もなくなった。もし相手が私を殺しに来たのなら、中に入ることは鳥かごに自ら飛び込むようなものだ。逃げたくても逃...