章 521

電話を切ると、私は目をぐっと擦って、急いでホテルの入口を見やった。同時に劉聡に言った。「俺はホテルの正面を見張る。お前は裏口を頼む。もしヘマして奴を逃がしたら、恥さらしだぞ」

彼は「ああ」と短く返事をした。

冯瑶との計画では、私が追跡を担当することになっていた。尾行なら大人数は必要ない、むしろ気づかれやすくなる。

黄泉の拠点を突き止めさえすれば、あとはじっくり対策を練ればいい。

黄泉は普通の組織ではない。その背後には国際テロ組織ETがいるんだ。少しでも油断はできない。

「出てきたぞ」

突然、劉聡が言った。

「どこだ?」と私は急いで尋ねた。

「お前は喧嘩も下手だが、目も利かないな...