章 648

紙袋を開けた瞬間、蕭蓉はぎょっとした。中には大量の人民元が詰め込まれていたのだ。

運転手の目の前でお金を数えるわけにはいかないが、彼女の見立てでは、少なくとも一万元近くはあるだろう。計算してみれば、これはちょうど彼女の往復の旅費と、贈り物として包んだお金を合わせた額に相当する。

これが劉旭が前もってこっそりカバンに忍ばせたものだと気づき、蕭蓉は複雑な感情に包まれた。

出発前に気づいていれば返していたかもしれないが、今はもう高速道路に入るところだ。蕭蓉は諦めるほかなかった。

紙袋をカバンの一番底に隠し、ファスナーを閉めると、蕭蓉は微笑みを浮かべて窓の外の景色を眺めた。

大洪村への帰り道...