章 29

素直に手を引っ込めた。

江珊は身を翻し、私を壁に押し付けた。

私の瞳は潤み、喉仏が上下に動いていた。

「ねぇ、早く……」

江珊の唇が近づき、温かい吐息と香水の香りが鼻先に降りかかる。頭の中は抑えきれない衝動で満たされていった。

「パパ……」

彼女の瞳は星のように輝き、私を見つめる目は、まるで私を飲み込んでしまいたいとでも言うように熱に浮かされていた。

柔らかくも弾力のある彼女の体を抱きしめ、荒い息を二度吐いてから、彼女の唇を強く噛んだ。

「んっ……」

江珊は痛みに呻いたが、すぐにキスを深めてきた。

彼女の身体からは香水の清らかな香りとシャンプーの微かな匂いが漂い、私をさらに...