章 611

唐蕭は笑いたくなった。この男は自分の体格が彼ほど立派ではないと見て、格闘技などという卑怯な勝負を思いついたのだろう。

よし、こうなったからには引くわけにはいかない。それに、引く必要もないのだ。

「格闘技ですね?いいですよ」唐蕭は目を細め、顔には相変わらず笑みを浮かべていた。

「お兄ちゃん、何やってるの!この教官、昔部隊にいて格闘技のチャンピオンだったって聞いたわよ!」唐小婉は焦った。彼女は兄に何かあってほしくなかった。

唐蕭は妹の心配そうな様子と、自分の腕を引っ張る姿を見て、彼女の手を軽くたたき、「小婉、大丈夫だよ。お兄ちゃんを信じてくれないか?」と言った。

「おい、結局やるのかやらないのか?...