章 554

ワン老が外へぶらぶら出かけ、管理事務所の入口に着いた時、何気なく振り返ると、その場に立ち尽くしてしまった。

さっきは気づかなかったが、今ワン老は奇妙な状況に目を留めた。管理事務所の所長、あのセクシーな体つきと機敏さを兼ね備えたリン・チェンチェンの車が管理棟の前に停まっていたのだ。

夜も更けて駐車場の車はもうほとんどなく、この白い家庭用の小型ビュイックは一際目立っていた。ワン老は車を見てから、隣の管理棟の二階に目をやった。眉をわずかに寄せるワン老。というのも、リン・チェンチェンのオフィスの明かりがついていないのだ。つまりリン・チェンチェンはオフィスにいないのに、車だけがここに残されているとい...