章 4

子供は手にしていた饅頭を食べ終えると、黙って私を見つめ、それから私の手にあるもう一つの饅頭に目をやった。

私は彼を見つめるのに夢中で、饅頭を食べることも、空腹であることも忘れていた。

「まだ足りないの?ほら、これもあげるよ」私は饅頭を彼に差し出した。

彼が手を伸ばそうとした瞬間、姉に遮られた。

「荏児、馬鹿なの?姉さんが買ってきた饅頭なのに、どうして食べないの?全部あの子にあげたら、あなたは何を食べるの?」

「もうお腹すいてないよ、さっきお餅食べたから」私はそう言いながら、澄んだ瞳を見つめた。

「ほら、食べて」私はもう一度彼に差し出した。

「あなたのお姉さんもまだ食べてないのに、全部あの子にあげるの?」養母が言った。

私は姉をじっと見つめたが、何も言わなかった。

「いいわよ、全部あの子にあげなさい。私はいらない。この子ったら、私と同じね、優しい心を持って、情に厚いんだから」姉は唇を噛みながら言った。

「ほら、食べて」私が饅頭を渡すと、彼は大きく口を開けて食べ始めた。

私はさらに椀を持って水を飲ませた。

「はぁ、みんな可哀想な子どもたちだ」養父はため息をついた。

皆が十分に休み、お茶を飲み、干し物を食べると、私たちは馬車に乗り込み、出発する時が来た。

「すみませんが、この辺りで一番大きな芝居小屋はどこですか?」養父が立ち上がって尋ねた。

「うちの天橋あたりじゃ、広和楼が一番大きいですよ。有名な役者さんも大勢出てて、賑わってますわ。どうして、あなた方も芝居を見に行くんですか?」店員は私たちの落ちぶれた様子を見て、あまり信じていないようだった。

「私たちは見るんじゃなくて、演じる方です」姉が言った。

「おや、そうだったんですか。あなた方は劇団なんですね。どちらからいらしたんです?どんな名前の?」店員はかなり驚いた様子だった。

「安徽から来たんだ。越劇を演じている。これは私の娘だ」養父は笑いながら言った。

「ほう、なるほど、本当に愛らしいお嬢さんだ。よし、しっかり学んで、きっと名役者になれるよ。さあ、行きなさい」店員は姉をじっくり見て、頷いた。

「お言葉ありがとうございます。それでは失礼します」養父はお茶代を払い、立ち上がって去ろうとした。

姉も馬車に乗り込み、私の隣に座った。

私はあの子を見た。彼はぼんやりとそこに立ち、私を見つめていた。あの澄んだ瞳で。

私は自分でも驚くほどの勇気が湧いて、突然姉に抱きついた。

「姉さん、あの子は孤児なんだよ。これからどうなるの?連れて行こうよ」

「何言ってるの?私たちだってまだ落ち着く先もないのに、どうやってあの子を連れていくの?もうやめなさい」姉は私の懇願を聞き入れなかった。

私の涙はどうしてか、その言葉を聞いた途端に溢れ出し、止まらなかった。

「姉さん、私も孤児だよ。お父さんもお母さんもどこにいるか分からないのに、あなたたちのおかげで…。あの子も私と同じなんだ。連れて行きたいの。弟にして、一緒に芝居を学ばせたいの。ちゃんと面倒見るから、迷惑はかけさせないよ。これからは私、ごはん半分だけ食べて、残りは彼にあげるから、絶対に食料を無駄にしないから。お願い、姉さん、養父さん、養母さん、あの子を連れていってよ。私に面倒を見させて」私は泣きながら馬車を降り、あの子を抱きしめて泣き止まなかった。

彼は私を見つめ、彼もまた泣き始めた。

「おじさん、おばさん、連れていってください。僕はお兄さんについていきたいです」彼はその時すでに私を「お兄さん」と呼んだ。

その「お兄さん」という言葉を聞いて、私はさらに辛くなり、どうしても彼を手放せなくなった。まるで彼が私の実の弟であるかのように。

「はぁ…本当に運命だな。連れていこう。どうせこの一団もこんな状態だ。一人増えたところで変わりはない」養父はついに言った。

私は嬉しくて笑顔になった。

「坊や、芝居を学びたいかい?」養母は彼の手を取って尋ねた。

実際、彼は芝居がどういうものか全く知らなかったが、うなずけば私たちと一緒に行けることだけは分かっていた。彼は急いで頷いた。「はい、やりたいです」

「よし、これも縁だよ。荏児がこの子を気に入ったんだから仕方ない。さあ、一緒に行こう」養母も言った。

私は嬉しくて彼の手を取り、馬車に乗り込んだ。

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