章 143

「こちらの銭千は当然、向こうで起きていることなど知るよしもなく、目の前の賑やかな人々を見て無邪気に叫んでいた。そして周囲の通行人たちは銭千を見て胸をときめかせながら声を上げ、朱雀は無力感に頭を振るばかりだった。

「ただいま姫様の武者求婚が行われております!姫様に勝った者が、姫様の婿となることができます!」武者姿の審判が大声で宣言すると、その場にいた男性たちは一斉に熱狂した。もしこの試合でうまくいけば、姫様の夫になれるだけでなく、皇帝に目をかけられて良い官職にもつけるかもしれない!まさに一石二鳥ではないか?

一方、銭千は考えていた。あの最も気持ち悪い虫は皇帝の乗り物であり、国の宝。もし姫様と...