章 16

むしろ、彼が申老二を強盗するはずがないとすら、思わず信じてしまっていた。

申老二が姜帆の人参を騙し取ったという話なら、岳閨舞はそちらの方を信じていた。彼女の心の中では、確かに申老二に良い印象を持っていなかった。あの男はまともに店を経営せず、よく人を騙したり誤魔化したりしていた。以前は詐欺で留置場に入ったこともある。訴えた人もいたが、証拠が提供できなかったため、結局うやむやになってしまった。

しかも、あの男は警察内部に繋がりがあるのだ。

だが感謝の気持ちは感謝、信じることは信じるとしても、この酷い状況を変えることはできない。申老二は人参を求める名目で強盗に来たと口を酸っぱ...