章 105

「風が木の葉をかすめて窓から吹き込み、風鈴を揺らした。辺りは静まり返り、虫の鳴き声すら聞こえなくなっていた。燭台の炎が左右に揺れ、地面から陰気が染み上がってくる。鳥肌が立ち、思わず身震いした。

錦陌は窓際で揺れる風鈴を見つめ、眉をわずかに寄せた。そんなはずはない、そのようなことがあるはずがない。彼は淳璟を横目で見た。淳璟が何かを察知し、わざと彼を驚かせているのだろうか。

「どうだ、何か思い当たることはあるか?」淳璟は錦陌が自分を見つめているのに気づき、眉を軽く上げ、首を傾げて尋ねた。

錦陌は深く息を吸い、ゆっくりと首を振った。「それについては分からない。世の中には不思議なことや奇妙な人が...