章 198

淳璟は嘘をついていなかった。九叠雲は本当にすぐに来た。彼がすぐに来ると言った時には、すでに百里先から聞こえてくる蹄の音があった。それは良い馬で、流線型の体つきも悪くない。彼の赤豆には及ばないが、九州ではすでに一流の名馬と言えるだろう。

ただその馬は何かに驚いているようで、ずっと嘶いていた。

淳璟は石の上に座り、小さく笑みを漏らした。狼に背中を乗っ取られたら、誰だって怖がるものだ!それは本能なのだから。

その笑みが、彼から目を離さず何か悪だくみをするのではないかと警戒していた詠児の目に映った。彼女は突然淳璟の前に駆け寄り、片手を弯刀の柄に添え、もう一方の手で淳璟を指さした。「何を笑っている...