章 639

電話の向こうは沈黙に包まれた。長い間を経て、苗紅薬はようやく大きく息を吐き、静かながらも僅かに興奮を含んだ声で言った。

「それなら、つまり彼こそが私の探していた人物ということね。絶対に覚えておきなさい、彼に少しでも何かあってはいけないわ。もし彼に何かあれば、あなたも戻ってこなくていいから」

「は、はい」蘇嬋は苗紅薬の言葉を聞き、思わず身体が震えた。彼女は合歓宗の処罰方法がどのようなものか知っていたのだ。

「時間があれば戻ってきなさい。話があるわ。それに、彼を守る人員を増やさなければ」苗紅薬の声は低くなり、興奮の余韻の中に、どこか悲しみの色が混じっているようだった。

「宗主、ご安心ください...