章 1115

左右を見渡すと、梅子の姿が目に入った。彼女は村の入り口に向かって歩いていた。

そこで、私はこっそりと後をつけることにした。

彼女は携帯を手に持ち、足取りは軽やかだった。

当然、この盲目の私が彼女を追いかけているとは思いもしないだろう。だから、彼女は一度も振り返ることはなかった。

私は彼女と二十メートルほどの距離を保っていた。

村には街灯がなく、空も暗かったから、たとえ振り返ったとしても、私の存在に気づくのは難しいはずだ。

そうして、私たちは一人前、一人後ろという形で村の入り口までやってきた。

そこで彼女は立ち止まり、携帯で電話をかけ始めた。

私は一本の木の陰に身を隠した。

距離があるため、彼女...