章 380

葉芷陌は小さな物体の行方を追うことだけに集中していて、完全に無意識の動作だった。そのまま下へ移動し続ければ「小趙三斤」の縄張りに入ってしまうことにまったく気づいていなかった。

だが。

葉芷陌が気づかなくても、趙三斤と柳盈盈は気づいていた。

柳盈盈は葉芷陌の横に立ち、はっきり見えていたし、聴診器のヘッドは趙三斤の体に当てられていたから、彼は見なくても状況が危険だとわかっていた。

「ストップ!」

まるで心が通じ合ったかのように、葉芷陌の小さな手が趙三斤の下腹部に触れようとした瞬間、趙三斤と柳盈盈が同時に制止の声を上げた。

「どうしたの?」葉芷陌はびっくりして、動きを急に止めた。

柳盈盈の顔には薄紅...