章 609

「王先生の言葉が終わるや否や、まず皆の耳に届いたのは病室のドアが開く「ギィ」という音、そして続いて柔らかくも芯の強い声だった。

「葉先生?」病院のベテランとして、王医師は治療レベルがやや劣るだけで、何年も同僚として働いてきた葉医師の声をすぐに聞き分けた。慌てて振り返り、気まずそうに尋ねる。「葉先生、どうしてこちらに?」

「彼に治療させるために来たの」葉芷陌は趙三斤に対して不満を抱いていて、もし勝てるなら会うたびに殴りたいとさえ思っていたが、今の状況では趙三斤の立場を守る必要があった。

「これは……」同じ医師とはいえ、葉芷陌のレベルは普通の王医師とは比べものにならない。そのため、葉芷陌の言...