章 617

空っぽのキッチンに立ち尽くし、趙三斤は毎日食卓に並ぶ料理を前に複雑な表情を浮かべていた。歯を食いしばり、最終的には意を決して、頭の中にある思いつきだけを頼りに今夜の夕食に挑戦するしかなかった。

料理は普通の家庭料理で、肉料理が二品。骨を取り除いた鶏もも肉を椎茸と一緒に炒めるだけだ。いつものように、趙三斤はまず鶏肉を油の入ったフライパンに入れてかき回した。

しかし、良いことは長く続かない。水気を含んだ鶏肉が油に入ると、パチパチと油が跳ね、趙三斤はその場から逃げ出したい衝動に駆られた。しばらく考えた末、鍋蓋を頭の盾にして、やっとフライパンの鶏肉をひっくり返すことができた。

さらに泣きたくなっ...