章 636

隠れ家を離れた後、趙三斤はまず夏霊墨に電話をかけたが、何度かけても通話中の状態が続き、結局諦めて警察署外の現場へと急いで戻るしかなかった。

特殊部隊の車両が警察署を完全に包囲し、水も漏らさぬ態勢を敷いていた。先ほど大広間で張家の手下たちに囲まれていた警官たちと同じような光景だ。尋ねるまでもなく、趙三斤はこれらの部隊が夏霊墨によって動員されたものだと悟った。

思えば、あの一夜の情熱の後、二人の関係は確かに進展したものの、ずっと夏霊墨だけが黙々と尽くしてきた形だった。

そんな状況に趙三斤は後味の悪さを感じていたが、残念ながら今の自分には状況を変えられる力がない。それが最も腹立たしいことだった...