章 640

林天龍にとって既に終わった戦いは、趙三斤たちにとっては、まだほんの始まりに過ぎなかった。命を賭けた囮作戦は、趙三斤にとってはまだ前菜に過ぎないのかもしれない。

これから趙三斤を待ち受けるものが何なのか、誰も知らない。趙三斤自身さえも。

県城の片隅にある薄暗い路地で、二つの勢力が激しく殺し合っていた。派手な武器など一切なく、皆が手にしているのは普通の刃物だけ。まるで二つの暴力団が抗争しているかのような光景だった。

「鷹は、もう逃げたんだろうな」趙三斤と火龍の二人が大通りを堂々と歩いても、一人の狙撃手も現れなかったことから、趙三斤はそう結論づけた。

「全員じゃないのか?」火龍も苦笑いを浮か...