章 783

工場内の環境は相変わらずで、「寰宇グループ」の進出を祝う旗が数本立てられた以外は変わっていなかった。最も変化があったのは事務エリアくらいだった。

趙三斤はちらりと見ただけで足早に通り過ぎ、李志玲の案内で問題の多い工場棟へと直行した。入口では幹部全員が集まっており、その光景に階段の警備員は慌てて携帯電話を隠すのに必死だった。

「皆は下で待っていろ。誰も電話を受けるな。どんな用事でも切れ。見つかったら経理部で清算だ」

今や製薬工場は自分の会社だ。趙三斤は柳盈盈の会社を訪ねた時でさえ細心の注意を払ったのだから、自社となれば厳しい条件は言うまでもない。

新しい防塵服に着替えると、趙三斤は一路グ...