章 785

赵三斤は頭を上げて見てみると、屋上のバルコニーの隅に中年男性が立っていた。はっきりとした顔立ちは見えないが、三十代か四十代くらいだろうか。今まさに声を張り上げて叫んでいた。

「外部へ一切の情報を遮断しろ。この場で誰かが携帯を取り出すところなど見たくない」赵三斤は冷ややかに鼻を鳴らし、鋭い視線を黒豹が手に持っている李正岩に向けた。

李正岩は地に足がついた感覚を得たものの、二十八階の屋上から飛び降りようとしている中年男性が名指しで自分に会いたがっているのを見て、今日の事態が大きく広がったことを悟った。

さらに重大な問題は、李正岩が夢にも思わなかったことだが、赵三斤が本当に「寰宇集団」の社長だ...