章 868

時間が刻々と流れ、黒衣衛(くろいえい)が趙三斤(ちょうさんきん)に与えた十分間はもう残りわずかとなっていた。先ほどの黒衣衛との初めての交戦を通じて、趙三斤には確信があった。黒衣衛は絶対に言葉通りに実行する人物だ。十分と言ったからには、一秒たりとも余分に与えるつもりはないだろう。

このまま膠着状態が続けば、不利になるのは明らかに趙三斤たちの方だった。前には天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)を手にしたヒベラエル、後ろには東方客船の黒衣衛の全軍がいる。

ちょうどそのとき、趙三斤のスマホが激しく振動し始めた。時間から推測すれば、間違いなく月蕭(げつしょう)からだろう。

遠洋を渡って戻ってきた貨物...