章 870

果てしなく広がる大海原、遠洋貨物船はまるで一枚の小舟のように海面を進んでいた。見渡す限り、月明かりが照らし出す僅かな光だけが周囲の海水を見せていた。

貨物船の操舵室の後方にある船室で、司楽は今眉をひそめ、目の前に立つ中年の黒人男性を見つめながら、不思議そうに尋ねた。

「どうして島国側が突然海洋封鎖令を出したんですか?」

「おそらく島国の最近の政変と関係があるのでしょう!」黒人も相当困惑した様子で、最近の変化から少し推測を加えるしかなかった。

「つまり、私たちが島国の領域に近づけば、拿捕されるリスクがあるということ?」海上航行に長年携わってきた司楽にとって、多くの規則や条項は明確に理解して...