章 877

「方向転換だ、海峡から撤退しろ!」

喉元に刃を突きつけられるのは、海賊の首領が今まで味わったことのない感覚だった。彼は死を恐れてはいなかったが、死にたくても死ねない状況が怖かった。

一同の海賊たちは、百メートル先の貨物船を不満げな顔で見つめていた。手の内にあったはずの獲物が逃げていくのを目の当たりにし、全員の胸中に怒りが募っていた。

「ブラックパンサー、銃は置いていけ、こっちに来い」趙三斤は百メートルの距離を隔てて、貨物船の最前部デッキに立つ司楽の姿を見つめ、しばらく我に返ることができなかった。

適当な突撃ボートを見つけ、海賊船がゆっくりと後退している隙に、ブラックパンサーは追いついた。そ...