章 994

リビングには火龙が事前に用意した茶葉があった。特別上等なものではなかったが、茶を嗜む人なら、普通の茶葉でも美味しい一杯を淹れることができるものだ。

さっきまで不機嫌そうだった司雀だが、テーブルの上に置かれた茶葉を見るなり、まるで別人のように笑顔になった。「龍くんが茶葉まで用意してくれているとはね。本当にありがたいよ」

「以前ニュー市に行った時から、叔父さんがお茶好きだと分かっていましたから。いらっしゃるなら、茶葉くらい用意しておくのは当然でしょう?」火龙は微笑んだ。実を言うと、この茶葉は彼が病院を出る時になって人に買いに行かせたものだった。品質がどの程度なのか、彼自身にもわからなかった。

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