章 1192

楚鐘は黛伊スを見捨てて一人で逃げようと考えていた。それは極めて自然な心理だった。

中華の古い諺にこんな言葉がある。「夫婦本是同林鳥、大難来時各自飛」—夫婦は同じ林に住む鳥のようなものだが、大きな災難が訪れれば、それぞれ自分の身を守るために飛び立つ。

この諺に従えば、最も危機的な瞬間には妻や夫さえも見捨てることが許されるのだ。ならば、楚鐘にこの謎めいた黛伊スの面倒を見る義理など、どこにあるというのだろう?

しかし、楚鐘が一度だけ男気を捨てて黛伊スを見捨てようかと決断しようとした時、彼女が口を開いた。「防護林の、その向こうに川が……」

黛伊スがその言葉を発するのに相当な労力を要したようで、...