章 1315

テレビドラマに出てくる地下党の接触シーンのように、川島芳子は左手で「OK」のジェスチャーを作った。

振り向いた小さな口髭の男は、純真な少女と一瞬目が合うと、彼女に黒い鞄を手渡し、素早く川島芳子の前に歩み寄った。同じように左手を上げたが、人差し指だけを伸ばし、その輪っかを貫いた……

川島芳子の手の輪は膏薬旗を表し、この口髭の男の指は東洋の武士の刀を象徴していた。

膏薬旗は、常に武士の刀に頼ることで、ある帝国が東の世界で徐々に台頭することを可能にしてきたのだ。

川島芳子と口髭の男が真剣にこの動作を交わすのを見て、純粋な少女の目に一瞬笑みが浮かび、すぐに周囲を見回した。

接触の暗号が間違い...