章 1515

歴史上の大奸臣や大忠臣と呼ばれる人物は、確かに人々が本当の姿を見極めるのが難しい存在だ。

例えば岳武穆のような英雄でさえ、秦桧の手にかかって命を落とした。彼の実力があれば、趙氏王朝に取って代わることも容易だったはずだが、そうはせず、進んで風波亭で首をはねられる道を選んだ。

また明末の大奸臣として知られる厳嵩も、権勢を誇りながら生涯ただ一人の妻を深く愛し、他の女性には目もくれなかった。これもまた誰が理解できただろうか。

だから黄東東が柴放肆の本質を見抜けないのも、当然のことと言えるだろう。

柴放肆は黄東東にこう答えた。「俺は俺だ。誰かに理解される必要なんてない。くどくど言わずに、誰にお前...