章 1690

柴家が没落していなければ、柴放肆は今ほど楚鉦を憎んでいなかっただろう。

せいぜい嫌っている程度に過ぎなかっただろう。

だが、あいつのせいで柴家は崩壊し、柴放肆を今の境遇に追い込んだ……柴放肆はずっと、楚鉦こそが自分をこんな風に変えた元凶だと思っていた。

柴放肆にとって、楚鉦はやり過ぎたのだ。そうでなければ、お前のような義弟がいることを誇りに思っていたかもしれない。

「はぁ、なぜそこまでやる必要があったんだ?」雪景色を眺めた後、柴放肆は惜しむように溜息をつき、ゆっくりと丘を降りていった。

入口で彼を守っていた十数人の護衛たちが、一斉に後に続いた。

柴放肆たちが遠ざかり、姿が見えなくなると、丘の右...