章 50

柴紫煙は片手で楚錚の顎を持ち上げ、その魅惑的な赤い唇を楚錚の口に押し当てた。その仕草は、まるで朝方の男が葉盈蘇にキスしたときのようだった。

二人の唇がようやく触れ合い、柴紫煙の小さな舌が唇からわずかに出たその瞬間、オフィスのドアが開いた。

部屋に入るときはノックするもの、それは礼儀であり、日常に溶け込んだ常識でもある。もちろん、楚錚のように常識を気にしない人間もいる。だが彼以外は大抵、部屋に入る前にノックするものだ。特に柴紫煙のオフィスに入るときは、ノックは必須だった。

しかし今、柴紫煙が楚錚を「実験台」にしているその時、ドアが押し開かれた。これはつまり、入ってこようとしている人物が柴紫...