章 53

翌朝、楚鉄が裏庭で洗顔を済ませ大広間に入ると、葉盈蘇の姿も、いつものような粥や漬物などの朝食も見当たらなかった。

「あれ?昨夜は確かに彼女が深夜に階段を上がる音が聞こえたのに、今朝は起きて食事の準備をしていないなんて。もしかして病気で起きられないのかな」楚鉄はそう考えると、階段を上がって葉盈蘇の部屋の前まで行き、そっとドアをノックした。「葉盈蘇、いるか?」

部屋からは返事がなかったが、キーボードを打つ音が聞こえてきた。葉盈蘇が確かに部屋にいることを察し、もう一度ドアをノックした。しかし、やはり返事はなく、キーボードを打つ音も途切れることはなかった。

「会いたくないってことか」楚鉄はドアを...