章 650

李金才は二年間兵隊として務めた後、自分の格闘の腕前が飛躍的に向上したと感じていた。

誇張ではなく、もし範強や大曹のようなプロのボディガードに出会わなければ、普通の若者なら三人や五人相手でも全く問題なかっただろう。

しかし今日はそんな相手に遭遇してしまったからこそ、彼は少し焦っていた。英雄も時には逃げることも必要だ。賢明な選択としては、さっさと逃げ出すのが正解だろう。

だが楚鋭の凄さは李金才の予想を大きく上回っていた。まず彼に慌てるなと一言かけ、それからさも何気なく二回蹴りを入れただけで、さっきまで彼を網から逃れた魚のように追いかけていた範強が、仰向けに倒れ動かなくなった。どうやら気絶した...