章 655

梁馨の豊富な捜査経験と人の表情や言葉から本音を見抜く能力から、韓娜が事件の経緯を語る時点で、この女性が一部の内容を脚色している可能性を感じ取っていた。

しかし、暴行者が傲慢にも自分の名前と連絡先を残したと聞いた時、心の中で不思議に思った。どんなに正当な理由があったとしても、法律をそこまで軽視するべきではないと。

どう考えても、被害者が王益の義理の姉でなかったとしても、今回の件は処罰を免れない。下手をすれば重い罰則を受け、故意傷害罪で留置所に三、五ヶ月も入ることになるだろう。

だが韓娜が暴行者の名前と住所を言い始めた時、梁馨は心中で大きく動揺し、記録していた手が止まり、はっとして顔を上げ、...