章 806

北宫錯に対して、柴紫煙はかなりの好感を抱いていた。彼女にとって、父親と楚鋮の次に命を託せる三人目の人物だと感じていたほどだ。

確かに、十数日前に起きたあの出来事を思い出すだけで柴紫煙は今でも恐ろしくなる。北宫錯がいなければ、彼女のあの清らかな体は、とっくに汚されていたかもしれないのだから。

「うん、そういう潔い人が好きなの。あ、誤解しないでね、あなたが好きだって意味じゃなくて、そういうさっぱりした性格が好きってこと。楚鋮以外は、私は誰にも目もくれないから」柴紫煙はそう言った後、すぐに言い訳を付け加え、次に爪楊枝を一本取って口にくわえながら尋ねた。「お願いしてた衛星電話は?」

北宫錯はポケ...