章 930

藤原太子は、南詔戯雪の美しさに長い間目を奪われていた。彼が日本天皇の第一継承者という身分でなければ、きっと彼女を力ずくで奪っていただろう。

この点は南詔の妹もよく承知していたはずだ。彼女が自ら彼を訪ねてきた時も予想していたことだろう。しかし、彼が露骨に「欲望」を口にした時、嫌悪感から怒りの表情を隠せなかった。

だが、藤原太子は彼女の怒りなど気にもとめず、軽々しく言った。「もちろん、断ることもできるよ。でもその場合は、来年の今頃、お母さんの供養をする準備をしておくといい」

母親の命と来世の幸福のために、南詔の妹は藤原太子の要求を受け入れざるを得なかった。そして今日の婚約式が行われることにな...