章 977

この世界には、平気で嘘をつくときに顔も赤らめない人種がいるものだ。

柴紫烟は間違いなく、そういった人々の中でも「傑出した」代表格だろう。

なぜなら、どんな愚か者でも分かることだが、楚鋭の直系の年長者を除けば、彼を最も愛している人物は間違いなくあの白髪白眉の九児姉であり、彼に最も一途な想いを寄せているのは周舒涵だ。とにかく、あの夜璀璨母娘を含めても、柴大人が楚鋭を「最も愛している人」などと選ばれるはずがない。

だが柴紫烟はそうは思っていなかった。彼女はずっと信じていた——大人が楚鋭を追いかけ回して、まるで野ウサギのように世界中を逃げ回らせるのは、妻が薄情な夫を取り戻す正当な行為だと。彼に薬を...